名作消化

なんだかんだ観たことない名作を最近じわりじわりと消化し始めてます。今日は『戦場のピアニスト』見ました。
WWⅡ、ユダヤ人、ナチスドイツと揃えば今まで触れてきた作品はいくつかあるけど、しっかりと生々しい映像で見るのは始めてだったかもしれない。
たしかに暴力シーンも血しぶきも死体も恐ろしいんだけど、一番胸に迫るような恐怖と虚無感に襲われたのは、シュピルマンがいざりながら壁の中に再び戻った時の、あのゲットーの街並みを俯瞰で写したところだった。曇り空の下にただ広がる崩れきった灰色の街と、呆然と一人立ち尽くすシュピルマンの姿が目に焼き付いて離れない。戦争と暴力が、人々の日常の生活をめっためたにして何もかも奪い去る、その構図が正にそこに集約されてたように思う。無しかない。
ドイツ軍のユダヤ人に対する暴行シーンは単に怖いというか末恐ろしい。今まで小説でしか触れたことなかったけど、映像で見ると役者のサディスティックな歪んだ笑みとか、声とかに身の毛がよだちそうになる。人間ここまで残虐になれる、負の意味での可能性を秘めてるんですね。
あとそれはもちろんそうなんだけど音楽が素晴らしかった。最後のエンディングも綺麗だったけど、やっぱりバラード第一番ト短調作品23が一番胸に迫った。戦争への怒りとか今までの絶望、苦しみ、悲愴全部ぶつけるぜって感じ。

見てよかったけど、寝る前に見るべきではなかったかな。夢に出そう。